舞姫

あなたは 美しく、美しくなった

仄暗い心の回廊に灯をともすため

生きるということの輝きが欲しかった

 少女というときに

夢の輪郭はとてもおぼろげなのに

その表情は

艶やかな彩にあふれている

万華鏡をのぞいたときのように

 めくるめく時の流れのなかで

ふと足を止めて振り返ってみると

衣擦れと残り香の佇まいが

セピア色にたたまれている

 人の世は包みようのない

不思議な形をしていて

人の心は忽ちに移ろい

解けない暗号がちりばめられている

季節を重ねて紡いだ糸を

心を込めて織り上げても

思い通りの模様はうかばない

  斜めにかざした手のひらに

冬の日差しが微笑みかけています

かんざしの朱の色に隠されたまなざしは

気づいていましたね

今という幻に映された心は

幾重にも重なって透明になるしかないことを

目を閉じてしまえば、その華やぎは

 たちまちに色褪せてしまうことを

 小さくたたまれた羽衣に

ほのかなぬくもりを残して

緑の風にいざなわれ

 折り鶴は空の青さへと翔立つ

見晴るかす都の佇まいと

人々の所作に別れを告げ

華やぎの約束事から解き放たれ

 孤独という同伴者に誘われながらも

あなたは

あなたとして明日へ翔び立つ

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