人形の街

猫たちは丸々として走るのをやめ

実をつけたことのない路際のレモンの木に

買い物籠の鶏と散歩する老婆の独り言

始業のチャイムのあとの静寂に

秋あかねが通り過ぎていく

私は何を迷っていたのだろう

複雑に思っていた迷路も通り過ぎてしまえば

一筋の道

偶然を繋ぎ合わせてみれば必然になるという仕組み

始まりがあれば終わりがあるだけのこと

それを、わからないふりをして通った

路地裏の日常