放課後

 

いつものように、廊下の窓辺から

あなたはフルートを奏でる

深まりゆく秋の空へ

その音色はドアをすり抜けて

書架の間をハミングしていく

不揃いの背表紙に語りかけるように

長い日差しはベランダの手すりを越え

橙色の木漏れ日模様がゆらめいて

書架の間に重なり合う小さな陽だまり

時計の針はのんびりと時を刻んでいる

閲覧室の午後3時過ぎ

晩秋

 

柿の実を ついばむ鳥の 影長く 羽ふるわして 枯葉まい散る

 

道すがら つぶやく言葉 さまよいし 柿の実ふたつ 野辺の夕暮れ

 

やわらかき 夕日に染まる 柿の実の 陰映したる 白壁の路