縄文の丘 

  この丘の栗の木の下

広がる森の向こうに

あなたは何を視ていたのですか

四千年前に

 命を継いでいくこと以外

たぶん何の所作も必要としない

この丘の日常

 この地で生まれ、ここに眠る

わずかな人々との世界に生きる

ほとんど定められた道筋

 何を想い 何を願い 日々を過ごしていたのですか

森の向こうの遠い海を視つめ

あなたは何を望んでいたのですか

この丘の栗の木の下で 

遺跡を見つめる私も同じ輪廻に生きている

時と云う魔法は生命の営みを

様々に変えてしまうけれど

夢物語を信じて右往左往を重ねた私には

「ただ 生きろ」と云う言葉だけが残された

それが人生というドラマの顛末だとしたら

私は悪戯好きの神様のマリオネット

  私は夕暮れの丘に佇んで

掴みどころのない 神の戯れと向き合っています