まぼろし

  

気がつけば あなたと私は 

輪郭だけが跋扈する舞台に立たされていた

無数の感覚が交差する影として映されるこの世界

途方もない抽象と組み立てなのです

描くことのできないあなたがいて 

ぬくもりを伝えられない私がいる

理解がおよばないあなたと

表象不可能な私

伝えるすべもなく とわに届かない思いの羅列

分かり切った結論を素知らぬ顔をして演じて見せるだけ

その脚本のト書きにしか現れない

あなたと私の一部始終の物語