春の日

  

  春の日だった

あなたに出会ったのは 

あの時 いつものように

一つ手前の路地をたどっていれば

もうひとつの世界を生きていた

  あなたと出会ってからのことは 

たくさん語れるのだけれど

私は世界の半分しか視ていない  

   偶然を重ねて生きている この不思議さを

つづる方法はあるのだろうか

ふりかえれば

何故そうしたのか わかりはしない

けれど そうしたかった

しなければならなかった 

目的とか 希望とか

飾り立てる修辞がないと

みすぼらしい人生と 思ってしまう

おろかさを贈られてしまった

心をすませば 

生きることに理由などないのに