この風に水無月の香りをのせて

ブナの木漏れ日が足元にゆらめき

静けさに包まれた山路に私の息づかいだけが繰り返される

いわかがみ、すみれや白根葵の花に息を整える

風に乗り散りばめられた朱や白い花びらに

ふと、目を上げると

うつぎやつつじの花が梢の先で揺れている

尾根の路には人影もなく鈴の音が冴える

残雪の谷から吹き上げる風に木々はざわめき

遥かな山々のうねりは緑の海原

さざ波のように

白神の森は今緑を深めている

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